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文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻12号

1967年12月発行

文献概要

特集 鞭打ち損傷の問題点

いわゆる鞭打ち傷害—特に急性期,亜急性期の治療

著者: 伊丹康人1 三好邦達1 片山国昭1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学整形外科

ページ範囲:P.1671 - P.1675

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はじめに
 いわゆる鞭打ち傷害の大部分は,motoristのaccelerationないしdeceleration traumaであつて自動車乗車中のものが,追突または衝突,あるいは急停車などにより,重い頭部に加わつた慣性により,可橈性のある頸部に,介達力がはたらいておきた傷害であることには,誰も異論はないところであろうが,そのときにおこるであろう頸部の損傷は,項筋,前後縦靱帯,棘上棘間靱帯,椎間板,関節包,筋付着部付近での損傷と同部の出血,神経根,とくにC1/C2,Occ/C1,間,C5/C6,C6/C7,C4C5間での頸髄神経根ならびにその周辺の傷害と,それにともなう出血,浮腫などによる循環障害,脊髄や交感神経系の損傷,脳震盪,脳幹部損傷等いろいろな損傷がおこる可能性が考えられる.さらにまたこの傷害は,車の重量,速度,方向その他の追突時の状況,事故寸前の頸部姿勢などに左右されるので,case by caseでまことに多種多様な症状を示してくる.
 したがつて,本傷害の治療は,まことに厄介であるともいえるが,症状により,大体主な損傷部位を想定することができるので,その症状に応じた治療法を行なうわけである.しかし,そこに問題があることは,どこまでを急性期,亜急性期とし,どこまでを陳旧慢性期とするかということである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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