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論説
低体温法による乳幼児心室中隔欠損症の開心根治手術—手術成績と適応
著者: 堀内藤吾1 小山田恵1 本田健夫1 石戸谷武1 阿部忠昭1 佐川安彦1 松村光起1 石川茂弘1 石沢栄次1 斎藤裕1 松本俊郎1 田中茂穂1
所属機関: 1東北大学医学部葛西外科
ページ範囲:P.521 - P.526
文献購入ページに移動心室中隔欠損症は生後乳幼児期に多数死亡することは周知の事実である.1960〜1961年の日本病理剖検輯報で,心不全で死亡した心奇形の頻度と死亡年齢との関係を調べてみると,第1図のようになり,数多い心奇形のうちでも心室中隔欠損症が圧倒的に多く,しかも予想外に予後不良であるのに一驚する.すなわち,日本では年間10,000人以上の心奇形が生れてくると推定されるのであるが,そのうちもつとも多いのが心室中隔欠損症であり,さらに,その死亡例中の大多数が乳児期に死亡していることが分つたのである.『このような患児に対していかなる治療救命対策が行なわれてきたのであろうか』と手近かの文献を調べたのであるが,根治手術成績は極めて不良であつて失望した.しかし,その不成績の原因を熟考した結果,手術侵襲そのものによるよりは,人工心肺使用よる体内血液のアンバランスによると気付いた.そこで乳児には,現状では人工心肺よりはむしろ低体温法が有利であると考え,かつ従来低体温法の欠陥とされてきた蘇生時の心マッサージを極力さけるため,冠灌流法を併用することを思いついたのである.
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