icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻4号

1967年04月発行

文献概要

トピックス

急性膵炎における神経因子の再認識

著者: 尾河豊1

所属機関: 1東京大学医学部第二外科

ページ範囲:P.537 - P.537

文献購入ページに移動
急性出血性膵炎の成因
 これについては,種々多数の実験的作製法にもとづいた学説と推論があるが,いずれもいまだ結論を得ていない.それはいずれもが実際の膵炎の成因の一部を占めていると考えられるからである.成因の一つとして膵臓の血流障害がその根底としてあり,さらに膵動脈周囲の神経叢,腹腔神経叢などを介する異常な刺激が血流障害を促がし,膵炎の発生に大きな役割を果していることは,これまでもいくつかの文献の支持がある.すなわち,腹腔神経節の化学的(クロトン油による)ないし持続的電気刺激により,広汎性肝壊死とともに急性出血性膵炎が発生する1).さらには上下膵十二指腸動脈周囲神経叢の,化学的,電気的刺激で急性出血性膵炎が発生する2).膵管内に胆汁を注入,主膵管を結紮すれば,100%に急性壊死性膵炎が起るが,同時に腹腔神経節に電気刺激を行なえばより早期に,より高度に壊死性膵炎が成立する3).また膵動脈に水銀を注入すれば,無菌性出血性膵炎を発生するが4),同時に植込み式持続的電気刺激Pacerにより,膵十二指腸動脈の周囲神経叢刺激を行なえば,より早期に出血性膵炎の発生をみる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?