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文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻6号

1967年06月発行

文献概要

特集 血管の外科 綜説

血管外傷の処置

著者: 白羽弥右衛門1 上道哲1

所属機関: 1大阪市立大学医学部第2外科

ページ範囲:P.785 - P.792

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はじめに
 四肢の血管は外傷のために損傷されやすい.外傷のために,主な血管が切断され,さらに重篤な軟部組織損傷や骨折を伴つた四肢は,ただ切断端の処置を施されるのみで,傷肢は切断されるのがふつうであつた.しかし,このような重篤な四肢損傷に対しても,その血行をまず再建して,これを保存する努力が払われるようになつてきた.Malt(1962)や陳(1963)らは,切断肢の再植手術に成功したと報告している.私たちも,1963年10月左手関節部完全切断例の再植手術にはじめて成功し,さらに,このような重篤な血管損傷を伴う上肢損傷11例(付表)をこれまでに診療することができた.それで,ここにはまず末梢血管外科の立場から,これに関する2,3の検討を加え,さらに切断肢に対するわれわれの応急保存法と,その手術方法や自験例の回復状況について述べてみたい.また,腹部刺創などに伴う下大静脈損傷診療の経験から,その処置上の注意事項をも述べるとともに,近時頻発する自動車衝突事故などの鈍性外力による胸部大動脈破綻についても申し添えて,外傷者を取扱う一般臨床家の参考に供したい考えである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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