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文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻6号

1967年06月発行

文献概要

臨床メモ

頭部,顔面,咽頭部痛に対する大耳介神経遮断

著者: 青木秀夫1

所属機関: 1山口大学

ページ範囲:P.792 - P.792

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 頭痛や顔面痛における頸神経の役割については,最近しだいに解明されつつあるが,三叉神経と上位4つの頸神経の間には,末梢性の知覚支配の重畳とともに,いわゆる関連痛の存在も考えられている.このうちとくに有名なものは,大後頭三叉神経症候群GOTSである.この作用機序は,解割学的に三叉神経の痛覚に関する線維は,三叉神経脊髄路核となり,頸髄後角をC3〜C4まで下降する.この部は頸部知覚神経が後根から入り,第2次ノイロンと接合する部である.したがつて,この両者の間に関連痛が生ずると説明されている.
 この解剖学的関係から明らかなごとく,三叉神経との間の関連痛は大後頭神経に限られたものではなく,小後頭神経,大耳介神経なども関係してよいわけである.しかるに頭痛と頸神経に関しては,大後頭神経についての報告は数多くみられるが,その他については少なく,大耳介神経に関するものはMason(1953)の報告以来,わずかの臨床報告を散見するにすぎない.大耳介神経の分布領域は広く,教室の特長によると側頭部から耳介後部を経て後頭部,顔面の三叉神経第3枝領野と第2枝領野の一部,顎下部などにおよんでいる.したがつて,これらの領野の頭蓋外の痛みに対して,大耳介神経遮断は程度の差こそあれ,有効なことが多い.教室では200例以上の頭部外傷後遺症,非定型的顔面痛,偏頭痛などに施行し,約80%に有効との結果をえている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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