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文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻6号

1967年06月発行

文献概要

特集 血管の外科 研究と報告

血管外科領域における低分子量デキストランの応用と効果

著者: 稲田潔1 佐藤昌平1 白髭健朗1

所属機関: 1岡山大学医学部砂田外科教室

ページ範囲:P.823 - P.828

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はじめに
 近代外科学の発展は,(1)輸血,輸液,(2)麻酔,(3)化学療法の3方面における進歩にきせられるが,とくに外科で日常遭遇するシヨックの概念ならびにこれに対する輸液療法の確立はもつとも大きな因子といえる.血液に代る輸液材料として各種のものが考按されているが,高分子量デキストラン製剤(平均分子量75,000)はそのちでも,もつとも優秀なものとして広く使用されている.しかし最近粘稠度の低い低分子量デキストラン(平均分子量40,000)が,シヨック時に起こる赤血球凝集による末梢循環における血流のうつ帯(Sludging)に対し著明な抑制効果を有することが認められた.すなわち低分子量デキストランは,たんに血液量の補填に役立つのみでなく,末梢循環を改善する点でシヨック療法として2重の利点を有することが明らかになり,漸次各方面で利用されつつある.
 当教室では低分子量デキストランを使用する血液稀釈による体外循環について実験的ならびに臨床的研究をおこない,本剤を灌流液に添加する(通常10〜20%の割合)ことにより体外循環のprimingに必要な血液量を節減しうるのみでなく,全血のみによる体外循環にさいしみられる末梢循環障害を防止しうることをすでに報告した1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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