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特集 血管の外科 研究と報告
上大静脈血栓症の1治験例—慢性線維性縦隔炎
著者: 上道哲1 白羽弥右衛門1 井上喬之1 乾慶助1 福住弘雄1 原田繁1 上原信彦1
所属機関: 1大阪市立大学医学部第2外科学教室
ページ範囲:P.883 - P.887
文献購入ページに移動上大静脈が閉塞すると,上半身の静脈圧が急激に上昇し,その結果,頭部,顔面や頸部などの上半身に浮腫をきたし,頭痛,咳嗽ならびに呼吸困難など,一連の特異な臨床症状があらわれる.その成因としては,肺癌,縦隔腫瘍などのために,上大静脈が圧迫されたり,腫瘍が上大静脈壁自体に浸潤する結果,これが閉塞されるなど概して悪性疾患の合併としてあらわれることが多い.しかし,慢性線維性縦隔炎や血栓性上大静脈炎のごとき良性疾患に基因することもすくなくない.
最近,われわれは原発性と思われる上大静脈血栓症の1例を経験したが,これに対して,human plasma-coated crimped tetron graftをもちいて,右内頸静脈・上大静脈by-passをつくり,良好な結果をえたので,その詳細をここに報告し,あわせて上大静脈症候群について,病理発生ならびに統計的考察をこころみた.
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