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特集 救急患者の取扱い方
腎・尿管・膀胱・尿道損傷の救急処置
著者: 堀内誠三12
所属機関: 1三井厚生病院泌尿器科 2東京大学
ページ範囲:P.943 - P.948
文献購入ページに移動はじめに
腎・尿管・膀胱は腹膜後腔および骨盤内に位置する臓器であり,ふつうは外力にたいして十分庇護されているので,その損傷は比較的少ないものである.現在のように戦争がない時代は大部分が鈍的な外力によるものであるが,最近の交通の発達と重工業の繁栄にともなつて,交通事故や災害事故が増加している.これは一般外傷が近時いちじるしく多くなつてきたためである.わが国の泌尿器科外傷は,多くの報告を総合すると,なお工場の災害がいちばん多く,ついで交通外傷である30).しかし欧米の統計では交通事故が最高をしめている.これらの事実は社会環境の相違によるものであろう.
著者はここに救急処置を理解するに必要なていどの統計,原因,病理をのべ,主として症状と診断と治療(特に救急処置)に重点をおいてのべる.しかし一般に本邦泌尿器科の医師は尿路外傷の経験例が乏しく,著者も小数例しか経験していないので,満足できるものが書けないが,読者諸賢のなんらかの参考になればさいわいと思つている.
腎・尿管・膀胱は腹膜後腔および骨盤内に位置する臓器であり,ふつうは外力にたいして十分庇護されているので,その損傷は比較的少ないものである.現在のように戦争がない時代は大部分が鈍的な外力によるものであるが,最近の交通の発達と重工業の繁栄にともなつて,交通事故や災害事故が増加している.これは一般外傷が近時いちじるしく多くなつてきたためである.わが国の泌尿器科外傷は,多くの報告を総合すると,なお工場の災害がいちばん多く,ついで交通外傷である30).しかし欧米の統計では交通事故が最高をしめている.これらの事実は社会環境の相違によるものであろう.
著者はここに救急処置を理解するに必要なていどの統計,原因,病理をのべ,主として症状と診断と治療(特に救急処置)に重点をおいてのべる.しかし一般に本邦泌尿器科の医師は尿路外傷の経験例が乏しく,著者も小数例しか経験していないので,満足できるものが書けないが,読者諸賢のなんらかの参考になればさいわいと思つている.
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