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文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻8号

1967年08月発行

特集 胃・十二指腸潰瘍の手術

貧血の強い場合どうするか

著者: 武藤輝一1

所属機関: 1新潟大学医学部外科教室第第一講座

ページ範囲:P.1101 - P.1104

文献概要

Ⅰ.強い貧血のみられる場合
 胃・十二指腸潰瘍で明らかに貪血がみられるのは,(ⅰ)吐血や下血による大出血のあつた後,(ⅱ)黒色便を主としたていどの小出血が続いている場合,(ⅲ)潰瘍に伴う種々の愁訴により長期間経口摂取の不足が続いている場合,(ⅳ)幽門狭窄がある場合,などである.大出血を伴う場合および幽門狭窄のある場合については別項において記載されるので省略し,これらの場合を除き強い貪血のみられる場合についてのべることとする.
 Bockusによれば吐血および下血の原因として胃・十二指腸潰瘍からの出血がもつとも多く70%を占めるといわれ,内外諸家の報告によつても50〜90%を占めると報告されており,消化管出血の原因として胃・十二指腸潰瘍はもつとも重要で,かつ頻度の高いものである.著者の教室の1044例の胃・十二指腸潰瘍の患者の主なる愁訴についてみると,胃部疼痛がもつとも多く65.5%をしめ,大なり小なり出血を主訴とするもの19.1%,狭窄が13.6%,穿孔が1.7%である.幽門狭窄のある場合を除いて,われわれがしばしば強い貪血をみとめるのは大出血の後とか,気づかぬうちに黒色便ていどの小出血が続いていたという場合が多く,次に著者の経験した後記の1例を挙げ,その症例を中心に治療法についてのべる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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