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文献詳細

雑誌文献

臨床外科22巻8号

1967年08月発行

文献概要

特集 胃・十二指腸潰瘍の手術

潰瘍症と胃の切除範囲

著者: 中谷隼男1

所属機関: 1田園調布中央総合病院

ページ範囲:P.1113 - P.1119

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はじめに
 潰瘍症は,きわめて多い点から消化器を対象とする医家の興味,関心の中心をなすものであるが,潰瘍発生の機序については現在なお説明しつくされているとはいえない.しかしその外科的療法にかんしては胃切除術をもつて本筋となすべきことに異論はないようであるが,近時米国の影響をうけて迷走神経切除術,さらにこの場合残胃を可及的保存して栄養に役立たせようとする意味で選択的迷切プラス胃前庭部切除(あるいは幽門成形術)等の努力がなされている.いずれにしても胃切除に伴う再発あるいは後貽症の予防の問題が潰瘍外科の進歩をここまでもたらした原因といいうる.
 胃切除による消化機能の欠落,ダンピングの問題ことに術後消化性空腸潰瘍は手術法の選択,決定においてもつとも大きな意味をもつているといえよう.端的にいえば洋の東西を問わず広範囲胃切除術は現在一応結論のごとくみえる.その根底に横たわるものは空腸潰瘍にかんする危惧が中心をなす.他方切除による消化機能の欠落すなわち広範切除が個体の栄養に影響がないとは考えられない.その意味において切除範囲は必要にして十分でありたい.それについていろいろの点より検討してみよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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