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論説
脳幹腹側部病変に対するTranspharyngeal Approachについて
著者: 佐野圭司1 寺尾栄夫1
所属機関: 1東大脳神経外科
ページ範囲:P.1267 - P.1272
文献購入ページに移動はじめに
脳幹腹側部は頭蓋内でももつと手術的に到達しにくいところのひとつである.Chordoma,neuri-noma, meningioma,転移性腫瘍などの各種の腫瘍,脳底動脈の動脈瘤など,この部に発生する病変は決して少なくないが,これら病変のほとんどはinaccessibleということで放射線療法,減圧手術などの姑息的な治療にゆだねられていて,根治的療法は断念されているのが現状である.
直観的にみるならば,前方から口腔を介して,transoralあるいはtranspharyngealに到達することがもつとも簡単と思われるが,非常に深部の手術になるうえ,口腔壁にさまたげられて十分な手術視野のえられないこと,消毒が十分に行ない難く常に感染の危険が大きいなどのためにあまり試みられていない.しかしhigh speed air drill,手術用顕微鏡をはじめとして種々の手術器具が発達し,さらに十分強力な各種抗生物質が用いられる現在,この方法は検討してみる必要があると思われる.
脳幹腹側部は頭蓋内でももつと手術的に到達しにくいところのひとつである.Chordoma,neuri-noma, meningioma,転移性腫瘍などの各種の腫瘍,脳底動脈の動脈瘤など,この部に発生する病変は決して少なくないが,これら病変のほとんどはinaccessibleということで放射線療法,減圧手術などの姑息的な治療にゆだねられていて,根治的療法は断念されているのが現状である.
直観的にみるならば,前方から口腔を介して,transoralあるいはtranspharyngealに到達することがもつとも簡単と思われるが,非常に深部の手術になるうえ,口腔壁にさまたげられて十分な手術視野のえられないこと,消毒が十分に行ない難く常に感染の危険が大きいなどのためにあまり試みられていない.しかしhigh speed air drill,手術用顕微鏡をはじめとして種々の手術器具が発達し,さらに十分強力な各種抗生物質が用いられる現在,この方法は検討してみる必要があると思われる.
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