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論説
糖尿病患者の術後死亡例について
著者: 赤木正信1 谷脇孝1 福田武司1 池田恒紀1
所属機関: 1熊本大学医学部第2外科学教室
ページ範囲:P.84 - P.88
文献購入ページに移動糖尿病患者の外科的合併症は,その特異な代謝異常と特有な合併症の点から,外科的リスクとしてはなはだ不良なものであり,それだけにその手術成績も不本意なものに終る傾向が強かつた.しかしインシュリンの発見,抗生物質の開発,術前,術後管理の進歩は,その手術死亡をいちじるしく減少せしめることに成功した.これは何といつてもC.H.Bestのインシユリンの発見によるところ大きく,糖尿病治療史では,いわゆるBest時代として,それ以前のNaunyn時代,Allen時代等の糖尿病自体による死亡率の高かつた頃と比較されていることは周知の通りである.
しかし,このBest時代のもたらした糖尿病患者の寿命の延長によつて,それらの患者が外科的合併症をもつて,外科治療の対象となる機会を多くする傾向を生じたこともまた事実である.これはJoslin, RootあるいはPrattが指摘しているように,その外科的合併症例の年次増加からもわかる.同時に欧米では糖尿病患者が多いだけに,その外科的合併症に対する関心もまた大きかつた.
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