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文献詳細

雑誌文献

臨床外科23巻1号

1968年01月発行

文献概要

論説

糖尿病患者の術後死亡例について

著者: 赤木正信1 谷脇孝1 福田武司1 池田恒紀1

所属機関: 1熊本大学医学部第2外科学教室

ページ範囲:P.84 - P.88

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はじめに
 糖尿病患者の外科的合併症は,その特異な代謝異常と特有な合併症の点から,外科的リスクとしてはなはだ不良なものであり,それだけにその手術成績も不本意なものに終る傾向が強かつた.しかしインシュリンの発見,抗生物質の開発,術前,術後管理の進歩は,その手術死亡をいちじるしく減少せしめることに成功した.これは何といつてもC.H.Bestのインシユリンの発見によるところ大きく,糖尿病治療史では,いわゆるBest時代として,それ以前のNaunyn時代,Allen時代等の糖尿病自体による死亡率の高かつた頃と比較されていることは周知の通りである.
 しかし,このBest時代のもたらした糖尿病患者の寿命の延長によつて,それらの患者が外科的合併症をもつて,外科治療の対象となる機会を多くする傾向を生じたこともまた事実である.これはJoslin, RootあるいはPrattが指摘しているように,その外科的合併症例の年次増加からもわかる.同時に欧米では糖尿病患者が多いだけに,その外科的合併症に対する関心もまた大きかつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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