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文献詳細

雑誌文献

臨床外科23巻1号

1968年01月発行

症例

頭部外傷重症例に対するステロイド療法の経験

著者: 泉周雄1 渡辺正幸1 玉城通弘1 菅谷英一2

所属機関: 1国立東京第2病院 脳神経外科 2神奈川歯科大学第2生理

ページ範囲:P.131 - P.134

文献概要

はじめに
 重症頭部外傷症例において,脳挫傷を主とする例はもちろん,頭蓋内血腫例で開頭血腫除去を行なつた症例においても,その後に発生する脳浮腫に対して強力な治療が必要とされる.各種高稠液による脱水療法は現在ほとんど常織化され,20%マニトールが主として使用されており,つづいて薬物冬眠または低体温による人工冬眠療法が広く行なわれた.これによる効果は多くの人により確認されているが,同時に欠点と思われる障害も現われてきて,現在では一時より批判的になつてきた.ステロイドが脳浮腫に対して有効であることが,諸家により唱えられ,各種脳手術や重症脳腫瘍例に用いられているが,重傷頭部外傷症例に対しても使用されるようになつてきた.わが国においては,主として東大畠中氏により実験的臨床的発表が行なわれているが,この血液脳関門防禦作用が実際に有効であるのみならず,使用法が簡便であり,副作用が少なくかつこれに対して予防が行ない得る点において,広く実用化されてきている.
 われわれは重傷頭部外傷急性例に対して,以前は低体温法を利用してきたのであるが,最近これにかえてステロイド療法を行なつてみた.そして約1年半の間に14例の臨床例に接したので,これの経験について発表したいと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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