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文献詳細

雑誌文献

臨床外科23巻10号

1968年09月発行

文献概要

特集 肛門外科

裂肛の治療はどうするか

著者: 渥美和郎12 小野田肇12

所属機関: 1国立療養所 久里浜病院外科 2東邦大学医学部第一外科教室

ページ範囲:P.1447 - P.1454

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はじめに
 裂肛Fissura ani, Anal fissure, Fissure-in-anoと肛門潰瘍Anal ulcerの区別を,日常の診療で,臨床家は特に厳密に分けて云々することは少ない.前者は肛門上皮Anoderm の単純な"裂け"Crackを指し,後者はそれの慢性化した陳旧性の裂肛であり,いろいろの付随した変化を伴つたものと解釈してよい.したがつて,急性裂肛と慢性裂肛に分類している者もあるし35),あるいは簡単に,裂肛は肛門における良性の潰瘍性病変をつくるものと定義している者もある8
 本症は排便時の激痛と,括約筋痙攣を伴うのが特徴で,血液が滴下することもあるが,多量ではない.この疼痛は甚だ執拗で,長時間続くので仕事に支障をきたすこと非常に大であり,患者自身も排便に恐怖感を抱く程である.そして,排便を我慢し,便秘に陥り,硬便を出して再び悪化させ,さらに,炎症も進行するといつた悪循環をみるのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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