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文献詳細

雑誌文献

臨床外科23巻11号

1968年10月発行

特集 Encephalopathyの臨床

InsulinomaとEncephalopathy—症例および綜説

著者: 田中早苗1 田淵勝輔1

所属機関: 1岡山大学医学部第1外科教室

ページ範囲:P.1607 - P.1612

文献概要

はじめに
 HyperinSulinismにより低血糖症状をきたし,意識消失および痙攣発作等の脳症状を呈する疾患の原因として,膵島腫瘍(insuloma)が考えられたのはそう新しいことではない.すなわち,1924年,Harris1)がhyperinsulinismの概念をのべているが,1926年にはWarren2)が20例のinsulomaを剖検例より発見し,病理組織学的に観察している.ついで1927年,Wilder3)は意識消失および痙攣発作を頻発,死亡した症例に悪性の島腫瘍を発見し,さらにこの組織にinsulin活性が認められたことから,この患者にみられたhyperinsulinismによる臨床症状が,膵島β細胞の悪性変化に由来するものと推論した.ここにhyperinsulinismとinsulomaの関連がはじめて実証されたわけである.1929年にはHowland4)が初めて外科的にinsulomaを剔出して臨床症状を消失せしめた.
 このようにしてinsuloma,すなわちβ細胞の機能亢進によるinsulin過分泌の結果,低血糖発作がおこつてくることが明らかになり,以後欧米では数多くの症例が報告されてきている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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