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文献詳細

雑誌文献

臨床外科23巻12号

1968年11月発行

文献概要

論説

腺腫様甲状腺腫の再検討—病理組織学的特徴と臨床上の意義について

著者: 藤本吉秀1 岡厚1 福光正行1

所属機関: 1東京大学医学部第2外科教室

ページ範囲:P.1791 - P.1800

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はじめに
 甲状腺に生ずる良性の結節は,病理組織学的に腺腫(adenoma)と腺腫様甲状腺腫(adenomatousgoiter)に2大別でき,欧米では常に論議の対象にされているが,わが国ではこの両者の鑑別にとくに注意をはらつて検討した論文が少なく,わずかに伊藤1)や沢田2)の報告をみる程度である.それというのも,欧米では腺腫様甲状腺腫が非常に多く,ことにアメリカの五大湖周辺や太平洋岸のendemic goiter areaでみられる甲状腺腫は大体この病変によるものであるといわれており,そうした疫学的な問題をかかえている上に,実際臨床面では橋本病や甲状腺癌と如何にして鑑別するかが問題にされ,また甲状腺機能亢進症状を伴う腺腫様甲状腺腫の患者が少なからずみられるということもあつて,甲状腺疾患のなかではもつとも重要なものの1つにされているが,わが国ではそれほど頻度が高くなく,また病変の程度も比較的軽いものが多く,甲状腺機能亢進症状を伴うものは非常に少ないという点から臨床医の関心を強くよぶまでにいたらなかつたのではないかと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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