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文献詳細

雑誌文献

臨床外科23巻13号

1968年12月発行

文献概要

論説

甲状腺機能性腺腫の臨床

著者: 原田種一1 西川義彦1 鈴木琢弥1 伊藤国彦1 土屋武彦2

所属機関: 1伊藤病院 2放医研

ページ範囲:P.1949 - P.1959

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はじめに
 甲状腺機能亢進を示す疾患の中で,甲状腺のびまん性腫張を有するいわゆるBasedow病以外に,結節性甲状腺腫で,機能亢進症状を示す疾患があることは,1910年代頃より認められ,Plummer1),Willso2),Rinehoff3)等により発表されてきた.しかしこの結節自体が甲状腺機能亢進症状を惹起するのか,あるいはただ単に甲状腺機能亢進症に,結節が併存しているに過ぎないものなのかについては,病理組織学的検索以外に両者を鑑別する手段を持ち合わせていなかつた当時としては,これを証明する方法もなく,この疾患の定義は漠然としたものであつた.しかし放射性ヨーソが臨床にとりいれられるようになり,Scincigramの撮影が可能となるに及んで,Cope, Rawson, McArther4),Dobyns&Lemon5)等の研究により,この存在が確認され,また同時に甲状腺機能亢進症状を臨床的に示さなくても,Scincigram上結節に放射性ヨーソの集積するいわゆる"Hot nodule"のあることも発見されて,中毒症状の有無に拘らず,機能を有する腺腫として,一つの独立した甲状腺疾患として理解されるようになつた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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