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論説
甲状腺機能性腺腫の臨床
著者: 原田種一1 西川義彦1 鈴木琢弥1 伊藤国彦1 土屋武彦2
所属機関: 1伊藤病院 2放医研
ページ範囲:P.1949 - P.1959
文献購入ページに移動甲状腺機能亢進を示す疾患の中で,甲状腺のびまん性腫張を有するいわゆるBasedow病以外に,結節性甲状腺腫で,機能亢進症状を示す疾患があることは,1910年代頃より認められ,Plummer1),Willso2),Rinehoff3)等により発表されてきた.しかしこの結節自体が甲状腺機能亢進症状を惹起するのか,あるいはただ単に甲状腺機能亢進症に,結節が併存しているに過ぎないものなのかについては,病理組織学的検索以外に両者を鑑別する手段を持ち合わせていなかつた当時としては,これを証明する方法もなく,この疾患の定義は漠然としたものであつた.しかし放射性ヨーソが臨床にとりいれられるようになり,Scincigramの撮影が可能となるに及んで,Cope, Rawson, McArther4),Dobyns&Lemon5)等の研究により,この存在が確認され,また同時に甲状腺機能亢進症状を臨床的に示さなくても,Scincigram上結節に放射性ヨーソの集積するいわゆる"Hot nodule"のあることも発見されて,中毒症状の有無に拘らず,機能を有する腺腫として,一つの独立した甲状腺疾患として理解されるようになつた.
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