文献詳細
特集 出血の問題点
文献概要
はじめに
1滴の出血が死を予告するようなことは,骨・関節の場合にはないが,出血の部位と原因の診断は問題となることがある.骨・関節の出血にも,内出血,外出血が区別され,また原因も外傷性,病的の両者がある.一般には骨折による内出血が代表的で,むしろ当然のことと考えられがちである.しかし,骨折の出血にも強弱があり,大量の外出血は生命の危険をもたらし,強い内出血が神経を圧迫麻痺させることもある.また骨折部の出血は腫脹や皮膚変色から容易に識別されることが多いが,大腿骨頸部内側骨折のように関節包内骨折であるため,血腫の存在が認めにくい場合もあり,また外傷直後には著変なく,日を経て広汎な皮下溢血を発見するものもある.外傷により出血の症状が強い場合には,骨折を考えるのが普通であるが,レ線検査で骨折の存在が明らかでない場合がある.このような例では,骨折の発見が困難であるのか,あるいは骨折は存在せずに骨に近接する血管損傷が存在するためか,往々診断に迷うことがある.また骨と血管走行との解剖学的関係から,骨折骨片による血管損傷のおこりやすい骨折がある.一方骨折の部位により出血の大小がある.大腿骨骨幹部骨折・転子下骨折,小児に多い上腕骨顆上骨折および脛骨骨折などは出血が著明な骨折である.
1滴の出血が死を予告するようなことは,骨・関節の場合にはないが,出血の部位と原因の診断は問題となることがある.骨・関節の出血にも,内出血,外出血が区別され,また原因も外傷性,病的の両者がある.一般には骨折による内出血が代表的で,むしろ当然のことと考えられがちである.しかし,骨折の出血にも強弱があり,大量の外出血は生命の危険をもたらし,強い内出血が神経を圧迫麻痺させることもある.また骨折部の出血は腫脹や皮膚変色から容易に識別されることが多いが,大腿骨頸部内側骨折のように関節包内骨折であるため,血腫の存在が認めにくい場合もあり,また外傷直後には著変なく,日を経て広汎な皮下溢血を発見するものもある.外傷により出血の症状が強い場合には,骨折を考えるのが普通であるが,レ線検査で骨折の存在が明らかでない場合がある.このような例では,骨折の発見が困難であるのか,あるいは骨折は存在せずに骨に近接する血管損傷が存在するためか,往々診断に迷うことがある.また骨と血管走行との解剖学的関係から,骨折骨片による血管損傷のおこりやすい骨折がある.一方骨折の部位により出血の大小がある.大腿骨骨幹部骨折・転子下骨折,小児に多い上腕骨顆上骨折および脛骨骨折などは出血が著明な骨折である.
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