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外科の焦点
Blind loop syndromeの治療
著者: 中山恒明1 羽生富士夫1 矢野柾多1
所属機関: 1東京女子医大消化器病センター
ページ範囲:P.301 - P.306
文献購入ページに移動腸管側側吻合は19世紀末に犬において実験的に行なわれたが,その後の外科手術の発達に伴つて腸管吻合の機会が多くなるに従い,吻合部盲端の嚢状拡張の起こることがしだいに明らかになつてきた.CannonおよびMurphyは猫を用いた実験で,口側の盲端が吻合部をこえて長い場合,ここに腸内容が貯留し拡張することを証明している.1935年にHenschenは,吻合病Anastomo-sen krankheitという名のもとに,腸管の側側吻合後おこつてくる種々の障害をまとめた.しかし,この名のもとにいかなる症候群を含めるかということは,まだ一定の説がなく,いろいろの見解がとられているのが現実である.
Blind loop syndromeと呼ばれるものは,ほぼこの吻合病の概念と一致するものであるが,後者の方がやや広範囲の範疇を含むもののようである.すなわち吻合病のなかに胃切除後のダンピング症状,輸入脚症候群,術後空腸潰瘍,胃全剔後の逆流性食道炎を含めるとする意見と含ませないとする意見があり,現在においては後者が大多数をしめている.またBlind loop syndromeとしては,盲環の形成のあるもののみとするものと,広く悪性循環,盲嚢および盲端の形成までを含めるとするもの,あるいは輸入脚症候群まで含めるとする意見もある.
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