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文献詳細

雑誌文献

臨床外科23巻3号

1968年03月発行

文献概要

手術器械の豆知識

止血鉗子

著者: 島文夫1

所属機関: 1東京大学医学部第2外科

ページ範囲:P.383 - P.383

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 止血鉗子は,その名のとおり主として止血を目的として使用される鋼製手術器械の一つである.使用頻度は非常に高く,本来の止血の目的以外にもいろいろな使い方をしている.たとえば,組織の把持,牽引,鈍的剥離,縫合糸の誘導(クリーヴラン縫合糸誘導器代り),腸管その他の切除時の切除側断端の閉鎖把持,ピンセット代り,ゾンデ代り,縫合糸やテープなどの保持,あるいはテープを使用しての一時的血管遮断,糸結びの時の手指代り,持針器代り,替刃の差しかえ,あるいはホールダー代り,その他にもゴム管などの一時的遮断,などとその使い方は広い.ということはどんな手術にも必ず使用しているので,使うことに十分なれて,いろいろなことをしているということである.
 しかし本来の目的のために,形や大きさ,構造,機能が十分吟味され完成されたものであろうか.専門化された分野での手術では,相応に神経が届いてきているが,一般にはまだ不満な部分が多い.有鉤のもの,無鉤のものがあるが,鉤はどの程度必要か.先端の幅や厚さはどうであろう.先端の組織把持力と止血の関係はどうであろうか.その一つ,先端に加わる力の大きさについて考えてみよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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