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特集 最良の手術時点
閉塞性黄疸
著者: 菅原克彦1 森岡恭彦1 玉熊正悦1 河野信博1 荷見秋彦1 柏井昭良1 小暮洋暉1 白倉徹哉1
所属機関: 1東京大学医学部石川外科
ページ範囲:P.473 - P.480
文献購入ページに移動外科治療の対象となる黄疸には肝外閉塞性黄疸と,溶血性黄疸があるがこの両者の鑑別は容易である.しかし肝外閉塞性黄疸と肝内閉塞性黄疽さらには肝細胞性黄疸との鑑別は往々にして困難なことが多く,ために手術時機を失することとなり,このことは治療効果の向上をはばむ大きな隘路となつている.肝門部から十二指腸開口部にいたる胆道系の内外に,胆汁の流出を阻害する疾患があるときは,黄疽の出現をみるのみならず,黄疸が長期かつ高度にわたると肝実質障害の他に胆道系感染症を合併し病態は複雑となるので,外科的肝外閉塞性黄疸の確定診断を困難ならしめる.本稿では外科臨床上重要な課題である診断的な問題は割愛し,多くの外科医が肝外閉塞性黄疸に対する根治的ないし姑息的手術後に重篤な合併症を経験し,暗憺たる感をいだくことを余儀なくされるので,肝外閉塞性黄疸に対する手術後の合併症の予防や対策,手術時点などについて教室例を中心に,若干の補足的実験を加味してのべる.
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