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文献詳細

雑誌文献

臨床外科23巻4号

1968年04月発行

文献概要

特集 最良の手術時点

膵炎の手術時点

著者: 佐藤寿雄1 斉藤洋一1

所属機関: 1東北大学医学部槇外科

ページ範囲:P.499 - P.504

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はじめに
 膵炎の発生機序はきわめて複雑でその病因としてもいろいろのものが取り上げられており,単一な原因で発症するものではない.Whipple1)は典型的な急性膵壊死が発生するには,少なくとも① 膵臓の機能的刺激状態,② 膵液の流出障害③ 膵臓の血行障害の3つの条件がなければならないとしている.膵炎の発生機序の複雑さはともかくとして,われわれが日常遭遇する急性膵炎の本態はTrypsinによる自家融解であり,形態学的には壊死である.一方,膵炎の外科的治療に関しても術式が確定されているわけではない.急性膵炎の治療に関してその歴史的変遷をみると,1927年(Schmieden)〜1933年の早期手術是認期,1933年〜1938年の早期手術否定期(ただし症例によつては手術を必要とする),そして1938年(Nordmann)以後は絶対的保存療法の治療方針がとられ,この見解がごく最近まで一世を風靡した感がある.しかし,その後外科学があらゆる分野でめざましい進歩を遂げてから急性膵炎の治療に関しても積極的開腹術論者もみられるようになつた.ところで,膵炎は病因が複雑であるばかりでなく,病像もきわめて多彩であるので,いかなる症例をどのような時期に手術の対象とするか,また手術をするとすればどのような術式を選ぶべきかなどに関しては多くの問題が残されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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