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外科の焦点
残胃に関する問題点
著者: 上垣恵二1 浅見恵司1 板垣潔1 川口政行1 木下智治1 額田克海1 宮田道夫1 近藤正太郎1
所属機関: 1東京大学医学部第1外科
ページ範囲:P.591 - P.598
文献購入ページに移動外科医のあいだで,最近,残胃に対する関心が急速にたかまつてきた.それは,残胃という新しい環境の下で,本来の胃の形態や機能がどのように修飾されてゆくのかが,検索方法の問題もあつて,十分に解明されておらず,その状態をつくりだす外科としては,放置しておくわけにゆかぬ重大な問題と考えられるからである.過去においても,この問題の解明に多くの努力がはらわれ,着々と効果をあげてきたことに間違いはないけれども,最近の各研究分野における新しい方法の開発はめざましく,それらを応用することによつて,残胃の研究にも新しい局面がひらけ,解明のピッチは急速さをくわえてきたということになる.
さて,残胃の環境を規制する因子としては,胃運動機能では,蠕動発現の変化,食物の通過・貯溜機構の変化,幽門括約筋不在の影響,内容排出状態の変化,胆汁逆流の影響,胃内floraの変動などがあげられ,また胃液分泌機能にかんしては,阻血性因子の影響,外来神経遮断の影響,gastrin分泌領域切除の影響,壁細胞数減少の影響,内因子減少の影響などがあり,また残胃粘膜にかんしては,残胃胃炎発生の問題がやかましくとりあげられている.これらの因子は独立して存在するものでなく,たがいにからみあつて,影響をおよぼしているし,また,その一つ一つの事項についてすら解明は不十分で,ましてや残胃全体にわたつての様相は複雑きわまりなく,その解明は容易なことではないと考えられる.
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