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論説
Radio-mammography—新しい乳癌診断の試み
著者: 佐藤博1 広田和俊1 大坪雄三1 平島毅1 西村明1 佐々木守1 黄江庭1 大山修身1 三好弘文1 竹島徹1 金城和夫1
所属機関: 1千葉大学医学部佐藤外科
ページ範囲:P.649 - P.654
文献購入ページに移動元来,腫瘍細胞は正常細胞に比べて放射性同位元素をよく摂取することが知られている.1946年,Low-Beerは300〜500μCiの32Pを静脈内に注入したのち,ガイガー・ミューラー管(GM管)を使つて始めて乳癌の診断を試み,その適中率は89%であつたと報告した.以来,諸家の追試と改良法による検討が行なわれてきたが,それらの成績は必ずしも満足すべきものではなく,現在ではこの種の診断法は余りかえりみられなくなりつつある.その最大の理由は,32Pより発するβ線の組織内飛程距離が4mm前後にすぎず,したがつて,GM管を用い乳腺皮膚表面から測定する可能であ4mm以上深在性の乳腺腫瘤の測定は不限りではるためである.多くの乳癌が比較的厚い脂肪層を距てて4mm以上の深部に存在することを考えると,GM管による32Pの診断法は事実上意義がすくないと考えざるをえない.
私どもは,この点に着目し,GM管の代りにβ線に比較的感受性の高い工業用X線フィルムを使用し,フィルムの黒化の具合から腫瘤部分の32P摂取状況を知ろうと試みた.基礎的検討を経て,昨春以来臨床例を重ねているが,乳癌の補助的診断法としていささかなりとも御参考になれば幸いと存ずるしだいである.
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