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文献詳細

雑誌文献

臨床外科23巻5号

1968年05月発行

手術器械の豆知識

胃腸縫合器

著者: 島文夫1

所属機関: 1東京大学医学部第2外科

ページ範囲:P.683 - P.683

文献概要

 ペッツ氏胃腸縫合器で代表される各種縫合器は,アンドロゾフ氏胃腸吻合器(ソビエト製)まで進歩した.機械的に消化管の縫合ないし吻合が自由に出来ることは,短時間で均一しかも確実な縫合が出来る点が大へん魅力的である.
 胃腸吻合器は,現在まで一般化されていない.しかし胃腸縫合(閉鎖)器は歴史は古い.術式や使用される縫合器の種類によつても異なるが,縫合部切断端から時に出血を見ることがある.このような場合には,止血のため全層縫合を加えているが,これと同様の出血が粘膜側にも起つていないかどうか考えねばならない.器械による縫合ないし吻合は,止血縫合が内容漏出防止と共に,短時聞で出来るのが本来の機能であるべきなのだが,止血の点で不十分なことがあり,最近クリップが3列組まれた縫合器が製作されている.2列のクリップが互いにクリップ間隙を埋めるように縫合しようとするものである.現実にはこの場合にも出血することがあるが少ない.1列でも2列でも,組織の挫滅や,細小血管へのクリップの刺入のチャンスは,特に変らないように思う.縫合器の遮断圧挫力が適当にコントロールされ,胃腸管壁の厚さや,縫合器の圧挫部の幅,クリップの大きさ,位置などの関係は,果して十分吟味されているだろうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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