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文献詳細

雑誌文献

臨床外科23巻6号

1968年06月発行

文献概要

特集 木本誠二教授退官記念特集

Banti病の独立性について

著者: 鈴木忠彦1 中作修1 和佐武1 島一秀1 布施徳馬1

所属機関: 1大坂市立大学鈴木外科

ページ範囲:P.853 - P.860

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はじめに
 1894年,Bantiが先天性梅毒,慢性マラリヤや白血病などと区別される,肝硬変を伴う原因不明の脾腫の症例を記載し,特有な経過をとることを述べた.これがBanti病の名をもつて呼ばれ,以後慣用されてきたことは周知のごとくである.しかし,Banti病の独立性については,従来より,多くの議論の対象となり,疑義を抱くものも多く,とくに最近では,肝外性閉塞に由来するうつ血性脾腫となす米国学派の説が欧米においては支配的となつて,Banti病なる名称も抹殺しようとする傾向さえみられる.
 一部にBanti病の存在を是認する学派はあるが,これとても,うつ血性脾腫をも認める条件下のものであつて.例えばDiGuglielmoは肝外性閉塞に由来するうつ血性脾腫を認めるが,これと臨床的にも,また病理学的にも区別されるBanti病が存在するとし,また,Cassanoなどは脾の濾胞あるいは髄索のFibroadenieを重視する立場から,Splenomegalia fibroadenica diBantiとSplenomegalie fibrozo-congestizieとを認める二元的見解を採用している.このような見解は,イタリー,フランスに多くみられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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