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文献詳細

雑誌文献

臨床外科23巻7号

1968年06月発行

文献概要

臨床メモ

膵嚢胞の治療

著者: 内田耕太郎1

所属機関: 1京都大学本庄外科教室

ページ範囲:P.1068 - P.1068

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 膵嚢胞を治療する場合,多くは術前にその部位の検討もついていることが多い.膵嚢胞は成因的に,また部位的に症例毎に治療方針が異なることは当然である.成因的には炎症・外傷等を主とする仮性嚢胞について剔出術を行なうこともあるが,これは出血も多く手術死亡率もたかいため避けるべきであり外瘻ないし内瘻造設術を行なうほうが成績がよい.外瘻造設術としていわゆる造袋術は,周囲皮膚の糜爛を貽す虞れも,ありtube drainageをすることが勧められている.内瘻造設としては,膵嚢胞と消化管の吻合を行なうが,消化管として胃・十二指腸・空腸がその目的に使用される.膵嚢胞の位置が胃後壁に近い場合,胃切開の上,胃後壁と膵嚢胞とを吻合することもあり,あるいは十二指腸第2部との間に吻合を行ない,あるいは空腸をRoux en Y型として,曠置した空腸脚との間に吻合することにより治療されることもある.術後適切な抗生剤投与と,抗Trypsin作用をもつとされているTrasylol等の投与により,膵に加えた手術侵襲による急性膵炎の発症を予防するよう考慮する必要がある.術後合併症として,内瘻造設を行なつた場合大出血をおこすことがあり注意を要する.
 真性嚢胞は,先天性のものもあるが多くは後天的のもので,なかでも腫瘍の性格をもつ膵嚢胞腺腫,膵嚢胞腺癌が問題である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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