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文献詳細

雑誌文献

臨床外科23巻8号

1968年07月発行

特集 膵・胆・肝の外科

慢性膵炎の臨床

著者: 内藤聖二1 中島泰三1

所属機関: 1順天堂大学医学部内科

ページ範囲:P.1141 - P.1151

文献概要

はじめに
 慢性膵炎1)2)は,欧米ではdrunkard's pancreatitisとしてアルコール常習者,またはアルコール中毒者にみられる慢性に進行する間質性炎症,線維増殖,実質の消失,膵管増殖,膵管閉塞,膵石,石灰沈着,仮性膵嚢腫を主とする慢性膵炎や再発性慢性膵炎が多いが,本邦では,急性膵炎より移行した慢性膵炎や慢性に経過する胆道系炎症を原因とした慢性膵炎,寄生虫を原因とする慢性膵炎,肝障害に合併する慢性膵炎,糖尿病にみられる慢性膵炎等が多い.これらは,一般に他の疾患,たとえば,胆嚢炎,胆石症,胃潰瘍,十二指腸潰瘍,肝硬変症等の病像にかくれて存在し,あるいは胃下垂,慢性胃炎,胆嚢ジスキネジー等の病名にかくれて,誤診されていることが多い.したがつて,慢性膵炎や,膵機能障害像は医師が積極的に膵機能を検査しなければ病像を得ることができない.また内科的には膵機能障害を推定しえても,外科的に膵実質の試験切除によつて決定しない限り,病態の決定診断は不可能である.日常の診療においては,不定の消化器症状の治療,慢性に経過する疼痛の対策,膵癌の診断が主であり,現在ではpancreozymin-secretin試験がスクリーニングとして最も有力な方法であるがなお研究,検討の必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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