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特集 膵・胆・肝の外科
定型的な外傷性胆道出血の1手術治験例
著者: 田嶋定夫1 伊藤隆雄1 須藤政彦1
所属機関: 1済生会神奈川県病院外科
ページ範囲:P.1195 - P.1199
文献購入ページに移動外傷性胆道出血とは,Sandblom(1948)1)の記載によれば外傷により肝内または肝と周囲組織との間に空隙を生じ,これを介して血流と胆道系とが交通するため,吐下血,胆石様疼痛などの発作をくり返えすものである.いわゆる胆道出血hemo-biliaは,いろいろの原因によつて起こり比較的多数の報告があるが,外傷性の胆道出血は,海外文献においてOwen(1948)1)の初報告以来,Sand-blom1),Sparkman2),Saliba12),Whelan8)らの集計に今回われわれの調査した数例を加えても1965年までに推定例,剖検例をあわせて46例を数えるに過ぎず,本邦においてはいまだ報告例はなく,わずかに砂田(昭36)22)が外傷の既往の不明な2例の吐下血患者を本症と推定しているのみである(第1表).
われわれは,定型的な本症に遭遇し,これを手術的に治癒せしめえたが,確認しえたものとしては本邦第1例と考えられるのでここに報告し,文献的考察を行なつた.
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