icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科24巻12号

1969年12月発行

文献概要

外科の焦点

Refractory shockと肝・門脈系の役割—エンドトキシンの新しい定量法に基づいて

著者: 玉熊正悦1

所属機関: 1東京大学医学部石川外科

ページ範囲:P.1607 - P.1614

文献購入ページに移動
はじめに
 肝は腸間膜動脈から門脈・肝静脈に至る特異的な循環系を形成し,出血や細菌感染などで生体が急性循環不全に陥ると,著しい血管収縮,血流減少ないし血液うつ滞をともなう1).このようにして無酸素状態に陥つた肝臓では,胆汁やBSP排泄遅延(Davis2)),フィブリノーゲンやプロトロンビン合成低下(Shorr3),Frank4)5)),尿素合成や脱アミノ基減少(Engel6)),ATP,Phcspho-creatinineなどの高エネルギー化合物,Cocarboxylase,Co-zymase,Apoenzymesなど諸酵素の減少(Greiget Govier)7)が指摘されている.それがひいては生体全体のエネルギー平衡,生命の維持をおびやかすことは想像に難くない.またVDM-VEM系を始めSerotonin,Histamine,Kallikurein,Poly-peptidesなど血中に増加して微小循環系の透過性を亢め,血漿漏出を促してショックの重症化をもたらすといわれる組織因子の多くも,肝・門脈系に由来することも注目されよう8)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?