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文献詳細

雑誌文献

臨床外科24巻12号

1969年12月発行

文献概要

特集 全身状態とSurgical Risk

心疾患を合併した場合のSurgical Risk

著者: 浅野献一1

所属機関: 1新潟大学医学部第二外科教室

ページ範囲:P.1645 - P.1649

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Ⅰ.一般大手術の循環器系に及ぼす危険性
 心疾患を有する患者の一般大手術において注意すべき危険は出血,ショック,術後感染あるいはわが国では頻度は高くないが血栓塞栓症などが挙げられる.これらの合併症が重篤の場合には心疾患の合併の有無にかかわらず致命的となりうることは当然である.しかしこれが限界線上にあるときは心疾患々者では危険性は著しく高くなる.
 一般に心臓肥大は代償心の一形態であつて,これのみであれば冠状動脈を通じ,冠血流,心筋酸素化は十分維持されるが,術中出血が多く,輸血が不足し,血圧が低下して冠血流量が減少すると,著しいcardiomegalyを有する患者や冠状動脈硬化症患者では正常心では耐えうる心筋乏血が不可逆性あるいは致命的な心筋障害を招来する.出血以外の原因によるショック(septic shockやanaphylaxic-shockなど)でも弁膜症や冠状動脈硬化症患者には重大な影響が現われうる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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