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文献詳細

雑誌文献

臨床外科24巻12号

1969年12月発行

文献概要

特集 全身状態とSurgical Risk

腎障害とSurgical Risk

著者: 宍戸仙太郎1 土田正義1

所属機関: 1東北大学医学部泌尿器科学教室

ページ範囲:P.1679 - P.1683

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はじめに
 腎は比較的予備能力の強い器官である.動物実験では腎実質全体の6分の1あれば十分生存できることが証明されており1),臨床的にも腎結核あるいは腎結石等の疾患では1側腎摘出後残腎の半分を切除する手術がしばしば行なわれる.腎部分切除術の実施には止血のため腎動脈を挾把して血流を停止させなければならないから,すでにある程度腎機能の低下した患者に対しては相当大きな侵襲といわなければならない.しかしこのような場合は,術前詳細に腎機能を測定し,慎重な術中・術後管理を行なうので,多くは安全に手術の目的を達している.ところが腎以外の一般外科手術では,最少限必要な腎機能検査も省略し勝ちなため,往々潜在性腎機能低下を見逃したり,またたとえ術前腎機能が正常であつても,手術侵襲が大き過ぎて,術中管理に手落ちがあつたりするためか,往々術後腎不全を招くようである.
 そこで本稿にはまず一般外科手術に必要な腎機能検査を述べ,次に腎機能障害と手術の危険度,術中・術後に腎不全を来す因子,およびその対策等を述べることにする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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