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文献詳細

雑誌文献

臨床外科24巻12号

1969年12月発行

文献概要

特集 全身状態とSurgical Risk

かぜとSurgical Risk—乳児外科におけるかぜの重要性

著者: 里吉光子1 平岩友道1 長島金二2

所属機関: 1順天堂大学医学部麻酔科 2賛育会病院小児外科

ページ範囲:P.1691 - P.1697

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はじめに
 かぜ(common cold)は,あらゆる年齢層に一年を通じて最も多く見られる疾患で,鼻腔,咽頭,喉頭など,上気道の急性炎症を主訴とするいわば症候群である.症状は,数日で自然に軽快するようなごく軽いものから,気管支肺炎,髄膜炎などをひきおこす重篤なものまで,さまざまである.古来,かぜは"万病のもと"といわれているが,種々の検査法や抗生物質が次々と開発されている今日,疾患と名のつくものの中で,これほど軽視されている疾患もあるまい.患者や家族はもちろん,医師もしばしばかぜが重要な疾患であることを忘れ,かぜのもたらす危険性を考えようとしない.
 乳児外科においても同様である。Elective caseはすべて,全身状態が最良の時期に行なわれなければならないという原則が,かぜの場合にはしばしば無視される.ことに鼠径ヘルニア,口唇裂,四肢の異常などのような小手術では,患児がかぜをひいても,家族や医師の都合によつて予定通り行なわれてしまうことが少なくない.しかし,かぜは乳児でしばしば特異的な病像を呈するもので,手術経過にかかわりなく,時には生命をおびやかすことさえある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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