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文献詳細

雑誌文献

臨床外科24巻12号

1969年12月発行

文献概要

講座

循環量維持としての輸液—1.循環量維持剤

著者: 大谷五良1

所属機関: 1三重厚生病院外科

ページ範囲:P.1717 - P.1722

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Ⅰ.循環量維持剤
 出血により人体が重篤な状態におちいる,ついには死亡するという事実は古くより知られており,このような状態を一般に出血性ショックと呼んでいる.出血性ショックの最も重要な原因は「血球の喪失」ではなく,「血漿の喪失」すなわち血液循環量の減少であることは第一次世界大戦当時よりすでに確認されている.
 出血性ショックに対しては輸血が最も効果のある治療法であることは論をまたないが,単に循環血漿量を増す液体,生理食塩水やリンゲル氏液などを注射してもかなりの効果がみられ,輸血実施の困難な第一次大戦当時にはこれらの晶質液が出血性ショックの治療法として盛んに用いられた。しかしながら晶質液は注射された後,比較的短時間内に循環より消失し,循環量増加の効果がうすいので,これに代わるものとして血漿とほぼ等しい膠質浸透圧をもつ膠質液が登場してきた.古くは骨性ゲラチン,アカシヤゴム,ポリビニールアルコール,ペクチンなどがあり,最近ではデキストラン,ポリビニームピロリドン,凍結乾燥血漿などがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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