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特集 乳腺疾患—その診療の進歩
乳癌の早期診断の要点
著者: 泉雄勝1
所属機関: 1群馬大学医学部藤森外科教室
ページ範囲:P.187 - P.193
文献購入ページに移動はじめに
癌の治療を向上せしめるためには,治療そのものの進歩が必要であることは勿論であるが,他方一般大衆への啓蒙による患者自身の早期受診,次にこのような早期癌症例に対する第一線医師の適確な診断,処置こそ,成績向上を大幅にもたらす能率的な手段と考えられる.
乳癌についてもこの点全く例外ではない,というよりむしろもつとも典型的な場合ともいうべきであろう.しかしながらこれらの点を現状の具体的事実についてみると,早期症例の増加という面についてもまだまだ問題の多いことが感ぜられるのである.たとえばUICC(国際対癌連合)の委嘱によつて本邦主要外科教室の乳癌に関する調査が1963年以来行なわれているが,この資料によつて,これらの諸機関で1年間に取扱われた乳癌症例のTNM分類によるStage別分布をみても第1表のごとく比較的早期ともいうべきStage I,II症例の占める割合はこの5年間に殆んど大きな変化を示していない.この点患者側の認識もさることながら,医師側にもまだまだ努力の余地が残されているというべきであろう.
癌の治療を向上せしめるためには,治療そのものの進歩が必要であることは勿論であるが,他方一般大衆への啓蒙による患者自身の早期受診,次にこのような早期癌症例に対する第一線医師の適確な診断,処置こそ,成績向上を大幅にもたらす能率的な手段と考えられる.
乳癌についてもこの点全く例外ではない,というよりむしろもつとも典型的な場合ともいうべきであろう.しかしながらこれらの点を現状の具体的事実についてみると,早期症例の増加という面についてもまだまだ問題の多いことが感ぜられるのである.たとえばUICC(国際対癌連合)の委嘱によつて本邦主要外科教室の乳癌に関する調査が1963年以来行なわれているが,この資料によつて,これらの諸機関で1年間に取扱われた乳癌症例のTNM分類によるStage別分布をみても第1表のごとく比較的早期ともいうべきStage I,II症例の占める割合はこの5年間に殆んど大きな変化を示していない.この点患者側の認識もさることながら,医師側にもまだまだ努力の余地が残されているというべきであろう.
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