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文献詳細

雑誌文献

臨床外科24巻2号

1969年02月発行

文献概要

特集 乳腺疾患—その診療の進歩

再発および進行乳癌に対する制癌化学療法

著者: 白羽弥右衛門1 酒井克治1

所属機関: 1大阪市立大学医学部第2外科学教室

ページ範囲:P.243 - P.249

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はじめに
 一般社会人の悪性腫瘍に対する知識が最近とみに向上したため,乳癌をおそれて診察を乞う婦人がいちじるしくふえて来た.しかし,乳癌の早期診断もやはり至難事の1つであるから,外科医を訪れたときには,すでに腫瘍が皮膚あるいは下床筋膜へ癒着し,さらに腋窩などへ転移しているもののすくなくないのが現況である.
 乳癌に対する根治手術術式は,すでに1890年頃,Halsted(1894),Meyer(1894)およびRotter(1896)らによつて確立され,今日においてもなおこれらの術式がそのまま踏襲されている.しかし,このような根治手術が行なわれたのちにも,局所性あるいは全身性に再発を来たすことがすくなくない.Donegan(1966)によれば,乳癌根治手術5年以内の局所再発率は,stage A(columbia臨床分類による)333例中34例(10.2%),stage B195例中40例(20.5%),stage C 115例中22例(19.1%),stage D 59例中26例(44.1%)であつた.1946年,Haagensenは,乳癌根治術後の局所再発が,胸壁皮下組織の不十分な切除に由来するものであることを指摘し,皮膚移植が行なわれない,すなわち一次閉鎖の可能な皮切がおかれた乳腺切断術にさいしても,できるかぎり残存皮膚の皮下組織を徹底的に切除すべきであることを提唱した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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