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論説
経皮的上腕動脈穿刺法による逆行性椎骨動脈撮影法—とくに中枢性前庭障害・脳幹部血管性障害検索のために行なつているわれわれの方法
著者: 長島親男12 大野恒男3 鎌野秀嗣14
所属機関: 1東京大学脳神経外科 2毛呂病院脳神経外科 3関東労災病院脳神経外科 4国立横浜病院脳神経外科
ページ範囲:P.263 - P.271
文献購入ページに移動椎骨動脈撮影法は,Moniz(1933)らによる鎖骨下動脈露出法がはじまりである1).鎖骨下動脈を経皮的に穿刺して行なう方法は1937年清水によりはじめて行なわれている2).椎骨動脈を直接,経皮的に穿刺して撮影する方法は高橋(1940)3),佐野(1949)4)により行なわれ,その後,Radnerら(1951)5)による橈骨動脈よりのカテーテル法,Lindgrenら(1956)6)による大腿動脈穿刺によるカテーテル法,Newton(1963)11)による腋窩動脈穿刺によるカチーテル法などいろいろのものが考案され現在でも,なお種々の改良が報告されており,椎骨動脈撮影の困難なことを知ることができるのである.
われわれは,神経耳科医(前関東労災・岩間和生氏・関東逓信・坂田英治氏)との共同研究のもとに中枢性前庭障害に起因する「めまい」の研究を行なつてきたが,この「めまい」症例の病因のなかで,最も頻度の高いものは,いわゆる"vertebro-basilar insufficiency"であること,しかも,そのangiographic lesionはextra-cranialにあることが大部分であることを知つた(長島,岩間,坂田,滝沢,1968)7).extracranialの血管病変の検索は,直接,外科的治療法に結びつく点で極めて重要である.
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