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特集 消化器疾患の新しい診断法
胃疾患に対する内視鏡検査および狙撃細胞診とPunch Biopsy—早期胃癌を中心に
著者: 城所仂1 竹添和英1 相馬智1 鵜川四郎1 瀬戸律治1 城島嘉昭1 後藤一博1 山川達郎1 谷合明1 片柳照雄1 山之内哲雄1 中西宏行1 広瀬惇一郎1 浅倉礼治1
所属機関: 1東京大学医学部分院外科教室
ページ範囲:P.335 - P.344
文献購入ページに移動X線検査,内視鏡検査,細胞診,生検の診断技術の進歩にともない,胃癌ことに早期胃癌の発見頻度は年々増加し,各施設からも20〜36%の高い成績が報告されている1)2)3).当教室でも全切除胃癌総数に対する早期胃癌の頻度は平均でみると17.2%にすぎないが,年度別にその推移をみると年々増加し,本年度は10月末ですでに35%にも達している(第1表).
このような状況下で,早期胃癌の診断は,より微細なもの,またIIb病変のような肉眼的にその形態の把握が容易でないものが問題にされるようになつてきた4).そこで早期胃癌の診断から外科治療にいたる迄の一連の過程で,内視鏡,細胞診,生検が如何に評価されるべきかを外科的な立場から検討してみることは必要なことといえよう.すなわち,①癌であることの質的診断,②病変の深達度の診断,③噴門側にむかつての粘膜面の癌浸潤の範囲,これらの項目は,癌の手術に際して極めて重要な条件であるが,これらが術前にどの程度判定出来るかは,上記の検査に課せられた重要な課題であろう.このような観点から教室の早期胃癌例を中心に,内視鏡,細胞診,生検の成績を検討してみたいと思う.
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