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特集 消化器疾患の新しい診断法
結腸疾患に対するFiberscopyおよび腸Biopsy
著者: 松永藤雄1 田島強1 宇野千春1
所属機関: 1弘前大学医学部松永内科教室
ページ範囲:P.349 - P.357
文献購入ページに移動最近の上部消化管診断学の進歩は非常にすばらしいものであるが,これに反して,下部消化管診断学は,一般になおざりにされていることが多い.しかし,下部消化管診断は,上部消化管に比して多くの制約があるとしても,その精密な診断を要することは論ずるまでもない,このためには,X線検査,内視鏡検査および病理組織学的検査の三者が有機的に結合されることが望ましい.大腸のX線検査については,すでに詳細に記述してきており1)2),最近に至つてようやく一部の一般病院でもすぐれた検査がおこなわれてきつつある.しかし,内視鏡検査については,一,二の例外を除けば,未だ直腸S状結腸鏡を用いて,たかだか肛門から25〜30cm迄を観察しているにすぎない.これでは,長い大腸のほんの一部しか観察できず,病巣がこの部に多いことを考慮しても,全く不十分であるといわなければならない.
われわれは,これを解決するために,1957年にSigmoidocameraを考案し,S状結腸のみならず,下行結腸,横行結腸,稀には回盲部迄の観察を大腸疾患の日常検査としておこなつており,その成果を多くの機会に報告してきた3-12).しかし,残念ながら,Sigmoidocameraは長い腸管へ盲目挿入して,盲目撮影をおこなうため,ある程度の技術を必要とし,胃内視鏡のように広く一般におこなわれる迄にはいたつていない.
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