文献詳細
特集 消化器疾患の新しい診断法
膵,肝胆道疾患ならびにmalabsorptionに対するpancreozymin-secretin試験
著者: 瀬川安雄1 竹森清和1 山川至1 竹内靖1 木谷栄一1
所属機関: 1金沢大学第1外科教室
ページ範囲:P.359 - P.371
文献概要
膵液を採取してそのamylase, lipase, trypsinの酵素活性を測定し,膵疾患の診断の資としようとの試みは古くから行なわれていたようである1).1902年Bayliss&Stirling2)によつて膵外分泌の体液性調節機転が明確に証明され,同時にsecretinが発見されるに及んで,一定量のsecretinを経静脈的に投与して膵を刺激し,これに対する膵外分泌の反応を酵素活性をもつて測定する方法が数多く試みられ,さらにpancreozyminが比較的純粋に分離されてからは,secretin, pancreozyminの両者を併用して膵分泌を刺激し,十二指腸液をsondeをもつて採取して酵素活性その他の因子を測定する膵外分泌機能検査法が確立されてきた.
Baylissが最初にとりだしたsecretinは,いわゆる粗secretinと呼ばれるものであつて,本来のsecretinのほかにpancreozymin, hepatocrinin,cholocystokinin, enterokininが共存していたが3),その後次第に精製されて今日ではほぼ純粋なsecretinが得られている.このsecretinは膵導管の主としてSchaltstückの導管上皮に作用して,水と重炭酸塩の分泌を亢進させる.
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