文献詳細
特集 消化器疾患の新しい診断法
胆道系疾患に対する超音波診断—とくに超音波断層像記録法による胆石症ならびに絣様胆嚢の診断について
著者: 三樹勝1 藤島義一1 谷口恒義1 市川豊1 寺岡資郎1 矢部三郎2
所属機関: 1日本医科大学第一外科 2八幡電気産業超音波研究部
ページ範囲:P.373 - P.388
文献概要
現在用いられている超音波診断法の多くはパルス反射法によるものであるが,反射エコーを記録紙に描写するということは,パルス波の生体内における伝播速度が大体1500m/sという高速である為に従来は機構上不可能に近いとされていた.3年前われわれは初めてこれを可能ならしめる装置を研究開発することが出来,これを超音波記録診断装置スーパーソノグラム(Supersonogram)と名付けたのである.本装置(第1図)ならびにその原理(第2図)についてはすでに報告したが1),要するに生体の超音波断層像を記録紙上に濃淡像として描写し得ることを特色としている.そこでこの装置を用いた超音波診断法の一つとして,胆道系疾患とくに胆石症の診断を取り上げ,これについて種々基礎的,臨床的研究を重ねた結果,送受別transducerによる自然呼吸下のスキャンニング法を創案し,今日教室ではroutineの検査法の一つとして用いられるほどとなつた.これらの方法ならびに成績についてもすでに報告しているが1)2),その後もさらに一段の工夫改良を加えて記録像の鮮明化に努めているので,この点をも加味した最近の諸成績を述べると共に,本法を施行中偶然のことから従来はなはだ困難とされていた絣様胆嚢(strawberry gallbladder)の術前診断の可能性を見出し得たので,このことにも触れたいと思う.
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