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外科の焦点
急性虫垂炎の計量診断のその後
著者: 四方淳一1 浮島仁也1 沖永功太1 渡辺脩1 外出紘三1 岡本祐嘉1
所属機関: 1東京都立墨東病院外科
ページ範囲:P.455 - P.463
文献購入ページに移動「虫垂炎すなわち手術」という概念は,一応世間一般にも徹底し,手術も容易に安全に行なえるようになり,急性虫垂炎の死亡率は世界的にいちじるしく低下している.早期手術が死亡率を低下させた功績は高いが,虫垂炎の手術といっても開腹術である以上慎重でなければならないはずである.事実,術後機械的イレウスの統計では,もとの数が多いからとはいえ,虫垂炎の手術が,誘因手術の第一位を占める報告が大多数であり6),イレウスばかりでなく他の虫垂切除後遺症もみられ,むしろ軽症虫垂炎手術例にやっかいな愁訴をきたす例の多いことも知られている9).最近はこういつた観点から,虫垂炎の手術適応を再検討しようという論文も多い4).筆者らが急性虫垂炎の計量診断を試みた意図もここにある.
重症型を早期手術することに異論はないが,軽症虫垂炎と考えられるものには,緊急手術を避け,経過を観察し,そのうえで手術をしないで済むものは無用の手術を避けるだけの余裕が慾しい,ところが,臨床的に軽症と思って手術した症例が意外と重症型であって.ひやりとさせられる経験はよくあり,このため臨床家はこういった症例に強く印象付けられてつい適応を広く取りがちである.適応を厳密にといかに叫んでも,従来のようにその人の臨床的判断だけで決めたのでは判断の明確な基準がない.
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