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文献詳細

雑誌文献

臨床外科24巻4号

1969年04月発行

文献概要

特集 緊急手術適応のきめ手

呼吸困難

著者: 杉本侃1 土井康司1

所属機関: 1大阪大学医学部特殊救急部

ページ範囲:P.481 - P.488

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はじめに
 呼吸困難とは呼吸をすることを自覚し,呼吸に対し努力がいることを意識する状態であって,時には苦悶感や絞扼感を伴う状態を示す言葉でありこの根底にあるものは肺機能の障害である.
 肺機能に障害のある状態は,呼吸不全(肺不全)という言葉でもあらわされ,これには息切れのみで血液ガスにまでは異常のあらわれていない状態から,血液ガスにも異常のあらわれている状態までいろいろの段階がある.Ciba Guest Symposium(1959)では,前者をrespiratory insufficiency,後者をrespiratory failureとして区別し,血液ガスの正常値の限界を動脈血酸素分圧(Pao2)75 mmHg,動脈血炭酸ガス分圧(Paco2)47 mmHg,動脈血酸素飽和度(Sao2)93%としている.また前者1)をventilatory insufficiencyと呼んで区別している人もあるが日本語ではこれを区別する適当な言葉はなく肺機能に障害のあるもの全てを呼吸不全としている様である.しかし逆に重症な疾患の患者,あるいは鎮静剤を投与されている患者ではかなり重症の呼吸不全があつても呼吸困難を訴えないかあるいは呼吸困難が表面にあらわれないことはよく経験するところである.呼吸困難とは呼吸不全のうちで自覚症状のあるものと考えるのが一般的である様に思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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