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文献詳細

雑誌文献

臨床外科24巻4号

1969年04月発行

文献概要

論説

肝性昏睡に対する交換輸血

著者: 早野薫夫1 加藤正夫1 島津栄一1 安藤充晴1 嘉屋屋夫1 稲垣英知2

所属機関: 1岐阜大学医学部中央手術部 2岐阜大学医学部第一外科教室

ページ範囲:P.553 - P.560

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はじめに
 肝性昏睡の成因として,アンモニア18)を始め,糖代謝障害,血清ビリルビン増加,低カリ血症,アルカロージス,セロトニン欠乏など種々のものが指摘されている19)24).すなわち肝性昏睡が単一の原因物質に基づくものでないことは明らかである.また肝性昏睡は大抵の場合終末症状である.しかし劇症肝炎で肝実質細胞の広汎且つ高度な壊死を示すものの中には,肝細胞の再生が起るものがあることも知られている.従つてもしなんらかの手段によりこの壊死の時期を克服すれば永久治癒を得ることも可能なわけである.ただ致命的因子が何であるかが不明なことが問題である.肝が有毒代謝産物を解毒することが出来ないということや,また一方生体維持に必須な未知の物質を肝が産生し得ないということも考えられる.しかし現実には,肝性昏睡の処置は既知の生化学的異常に向けられざるを得ない.そして腸管内での蛋白質からのアンモニア産生を抑制する目的で,蛋白性食餌の制限,非吸収性抗生物質あるいは乳酸菌の内服16,浣腸などが行なわれる18).また結腸の切除1)23)をすすめるものもある.大量の副腎皮質ホルモン12)21)やグルタミン酸ソーダ2),アルギニン18)なども推賞されている.その他最近,血液透析13)17),交叉循環6),交換輸血,異種肝体外灌流8)10)などが試みられ臨床上著効を認めたという報告もある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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