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文献詳細

雑誌文献

臨床外科24巻5号

1969年05月発行

特集 臨床麻酔の問題点

術前状態の把握と前投薬の重要性—若干の症例を中心に

著者: 河口太平1

所属機関: 1東京逓信病院麻酔科

ページ範囲:P.605 - P.609

文献概要

はじめに
 前置きしておきたいことは,"麻酔"という言葉が現在,狭義と広義の2通りの意味にしばしば混同して用いられていることである.どちらの意味にもとれる場合もあるが,片方の意味に解した方が順当と思われることもある.たとえば,"脊椎麻酔"とか"麻酔剤"とかの場合は狭義麻酔の意味に,"イレウス患者の麻酔"とか"麻酔科"とかの場合には広義麻酔の意味に解すべきであろう.それでは,広義麻酔とは何かというと,手術(またはこれに準ずる診療行為)を受ける患者の刻々の状態を把握し,患者の精神的および身体的苦痛を除去するとともに,患者の安全を保持しかつ優れた術野を提供することにほかならないであろう.この意味での麻酔は,決して術中にだけ限られるものでなく,術前術後にまでわたるべきものと思われる.すなわち,患者の術前状態を的確に把握して適切な管理を行なうこと(前投薬もこの中に含める)は,広義麻酔の第1段階であり,きわめて重要な過程であるといえよう.
 本特集における主題の大多数が広義麻酔に関してのものであり,したがつて,それぞれの主題下で術前状態の把握とその管理について多くの紙面が割かれているはずである.ここでは,おおむね一般的と思われる問題点のなかから2・3を拾って,筆者の経験を中心にざっくばらんにのべてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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