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文献概要
患者と私
外科医の幸福
著者: 橋本義雄1
所属機関: 1名古屋臨港病院
ページ範囲:P.688 - P.689
文献購入ページに移動台北大時代の患者
それはたしか,昭和26年の秋頃ではなかつたかと思う.まだ私が徳島大学在任中の時である.いつものように朝8時頃,玄関に出て靴をはき,引き戸を開けて大学へ行こうとした時であった.つけつぱなしのラジオのスピーカーはNHKの「たずね人」の時間を報じていた.別に気にしていたわけではないが,ふと私の耳に入つた言葉.「台北大学病院外科の橋本義雄先生に……」ハッと思わず,その放送の続きに耳を傾けた.九州熊本県の○○さんからのお尋ねで,橋本の住所,現状をしらせてくれとのことである.手早く鉛筆と紙とをもつて,相手方の住所,名前を書き取つてみたが,はつきりしなかった.後で放送局に通知して,住所を知らせ,先方への連絡方を依頼した.しばらく日をおいて.先方からの封書が屈いた.
その手紙の内容から次のことが判明した.
それはたしか,昭和26年の秋頃ではなかつたかと思う.まだ私が徳島大学在任中の時である.いつものように朝8時頃,玄関に出て靴をはき,引き戸を開けて大学へ行こうとした時であった.つけつぱなしのラジオのスピーカーはNHKの「たずね人」の時間を報じていた.別に気にしていたわけではないが,ふと私の耳に入つた言葉.「台北大学病院外科の橋本義雄先生に……」ハッと思わず,その放送の続きに耳を傾けた.九州熊本県の○○さんからのお尋ねで,橋本の住所,現状をしらせてくれとのことである.手早く鉛筆と紙とをもつて,相手方の住所,名前を書き取つてみたが,はつきりしなかった.後で放送局に通知して,住所を知らせ,先方への連絡方を依頼した.しばらく日をおいて.先方からの封書が屈いた.
その手紙の内容から次のことが判明した.
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