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文献詳細

雑誌文献

臨床外科24巻5号

1969年05月発行

文献概要

講座

ショックの診断と治療—〈3〉Cardiogenic Shock

著者: 隅田幸男1

所属機関: 1国立福岡中央病院心臓血管外科

ページ範囲:P.708 - P.718

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はじめに
 一次的,あるいは二次的に心肺ポンプ作用が失調して発生するshockをcardiogenic shockという.心筋硬塞,心筋炎,発作性頻脈,徐脈,心不全,肺栓塞,うつ血性肺拡張不全,心嚢タンポナデーなどが原因となる.主症状は,低血圧,中心静脈圧の上昇,正常血流量性心拍出量の低下と末梢血管抵抗の増加などである.このshockの診断と治療は,Vineberg手術,心筋切除術,植込み式ペースメーカー,一般心内修復手術などと心臓血管外科の手術適応が限りなく拡大されてゆく今日,外科医によってますます真剣に検討されるようになつた.
 その治療の原則は,①心筋に直接作用して血液供給を増すpositive inotropic agentsの投与,②有効循環血流量を増し,心室を充満させ,心筋線維が拡張終期になるべく弛緩して長くなるようにする.③心拍出抵抗を低下させ,心筋のエネルギー消費を増すことなく心室を空虚にする.④血管収縮剤でshock前の動脈圧を保ち,冠と脳の潅流圧を正常に近づける,などであるが,③はα-adrenal blockerであるPhenoxybenzamine又はβ-adrenergic stimulatorであるisoproterenolとnoradrenalinとの併用を意味している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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