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特集 良性腫瘍
頸部良性腫瘍
著者: 渋沢喜守雄1
所属機関: 1国立王子病院
ページ範囲:P.1055 - P.1059
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多くの教科書に記載されているように,線維腫,脂肪腫,乳嘴腫など,全く良性限局性の,治療容易な腫瘍は,日常しばしば遭遇する.また嚢胞,その瘻孔も頸部特有のものがあるが,わざわざ,ここに取りあげる必要はあるまい.
嚢腫で触れておくべきものは,いわゆる頸部胸腺嚢腫であろう.その発生病理は研究者の意見が一致していないが,普通,胸鎖乳突筋の内側下部で,胸腺全部が頸部に嚢腫として残留することもあり,胸腺大部分は前縦隔へ下降し,一部が嚢腫状に頸部に残留することもあり,一定しない.しかしPolloson(1901)の報告以来,20例に足りない少数例にすぎない.本邦では筆者が1例(医学書院"胸部外科教科書"の中に),真銅(1958)1例,相内(1969)1例などの報告があり,重症筋無力症は合併せず,また悪性化していない.しかしLaage-Hellman(1952)に悪性化の報告があり,したがつて,発見したら,手術的に摘除すべきであろう.
多くの教科書に記載されているように,線維腫,脂肪腫,乳嘴腫など,全く良性限局性の,治療容易な腫瘍は,日常しばしば遭遇する.また嚢胞,その瘻孔も頸部特有のものがあるが,わざわざ,ここに取りあげる必要はあるまい.
嚢腫で触れておくべきものは,いわゆる頸部胸腺嚢腫であろう.その発生病理は研究者の意見が一致していないが,普通,胸鎖乳突筋の内側下部で,胸腺全部が頸部に嚢腫として残留することもあり,胸腺大部分は前縦隔へ下降し,一部が嚢腫状に頸部に残留することもあり,一定しない.しかしPolloson(1901)の報告以来,20例に足りない少数例にすぎない.本邦では筆者が1例(医学書院"胸部外科教科書"の中に),真銅(1958)1例,相内(1969)1例などの報告があり,重症筋無力症は合併せず,また悪性化していない.しかしLaage-Hellman(1952)に悪性化の報告があり,したがつて,発見したら,手術的に摘除すべきであろう.
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