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文献詳細

雑誌文献

臨床外科24巻9号

1969年09月発行

文献概要

特集 緊急手術の手技・Ⅰ

緊張性気胸

著者: 早田義博1 萩原勁1 吉岡孝明1

所属機関: 1東京医科大学外科

ページ範囲:P.1227 - P.1230

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 気胸とは胸膜腔内に空気が貯溜し,肺の虚脱せる状態をいうが,その原因により,a)外傷性気胸,b)自然気胸とに分けられる.前者はもちろん,外傷が原因となるものであり,後者は認められるような外傷がなくて,肺胸膜に何らかの原因で断裂が生じ,肺胞気が胸膜腔に漏出して肺虚脱をきたしたものである.このうち明らかな原因に基づくものを病的気胸あるいは続発性気胸とよび,臨床的に明らかにできぬものを自発気胸とし,これのみを自然気胸とするものもある.一方,気胸腔と外界あるいは肺との交通状態により,a)閉鎖性気胸,b)開放性気胸,c)緊張性気胸あるいは弁状気胸の3つに分けている.
 緊張性気胸は,胸腔内圧が陽圧となるためもつとも危険とされている.すなわち,縦隔は圧迫されて常に健側に移動し,開放性気胸のように縦隔動揺,奇異呼吸および振子気はおこらないが,健側肺の換気は妨げられ,胸腔内圧の上昇により静脈還流が阻害され,チアノーゼ,高度の呼吸困難,ショック症状を呈するいわゆる,急性呼吸循環障害を招来するようになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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