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文献詳細

雑誌文献

臨床外科25巻1号

1970年01月発行

特集 特殊な輸血とその現況

血液有効成分利用の現状

著者: 大林静男1

所属機関: 1日本赤十字社中央血液センター

ページ範囲:P.21 - P.25

文献概要

はじめに
 輸血がわが国でも,医療の重要な一要素となってから既に久しい.しかし今日なお全血輸血が主であるという事実は,輸血学の進歩も,貴重な血液も余り活用されないままの現状を検討し,事態を更新する必要を物語ると考える.10年前筆者が合理的輸血なる一文をかいた当時は,献血は殆どないような状態の中で,将来のよき日の準備のためと述べた→合理的輸血運営組織,安全性,適応上の血液成分利用の各項の推移を見ると,前の2項は,驚く程の改善と整備が進んでいるのに,血液成分利用の実体は,ほとんど旧態依然に近いのは,まことに悲しい現実である.輸血の目標は(1)最少の血液(より少ない量と回数と日時)で最大の効果を得ること,(2)最も安全に行なうこと,(3)必要時に必要量を用いることのできる体制の整備にあると結論できよう.このため当然血液のよりよい質と量と合理的使用が要求されると共に,これを可能とする組織が整つていなければならないことはいうまでもあるまい.しかし血液有効成分の利用の現状を見る時に,ここに輸血の重点が向けられるように,輸血の関係者が互に協力し合うことこそ,今日の急務と考えている筆者に合理的輸血の根本から書き始めることをお許し願いたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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